「北海道って、涼しいんじゃないの?」
そう思って帯広を訪れた人が、予想外の暑さに驚くことは少なくありません。
実は帯広は、北海道の中でも特に夏の最高気温が高くなりやすい地域のひとつ。
真夏には35℃を超える猛暑日になることもあり、本州の内陸都市と変わらない暑さを記録します。
一体、なぜ帯広だけこんなに暑くなるのか?
この記事では、十勝平野の地形的特徴やフェーン現象、日照時間の多さなどの気象要因から、帯広の“夏の暑さの正体”をわかりやすく解説していきます。
帯広が暑くなる理由:科学的に徹底解説
1. 内陸性気候による強い日射と寒暖差
帯広は十勝平野の中心に位置する内陸都市。海から離れており、海風による気温緩和が期待できないため、日中の気温が急上昇しやすい。
夏は太陽高度が高く、直射日光を強く受ける。
湿度が比較的低いため、放射による加熱が効きやすい。
夜間は放射冷却で冷えるが、日中は35℃近くまで上がる日も。
エビデンス
帯広は「日本一寒暖差が激しい都市の一つ」とされ、一日の気温差が10~15℃以上になることもしばしば(気象庁・地域気候観測所データ)。
内陸性気候の典型で、夏の高温・冬の極寒という両極端の気候。
2. 十勝平野の地形と盆地状の地形
帯広は十勝平野の中でもやや低地にあるため、熱が滞留しやすい。
広大な平野だが、周囲を日高山脈・大雪山系などが囲んでおり、風が滞ることがある。
放射冷却が効くことで朝晩は冷えるが、日中は地表面が急激に加熱される。
地理的根拠
帯広の標高は約38mと低く、日射熱が蓄積しやすい地形。
平野部にありがちな「無風・強日射」の条件がそろうと、局地的に非常に暑くなる。
3. フェーン現象が起きやすい気圧配置
帯広も北見と同じく、南西〜西からの風が山を越えてくるときにフェーン現象が発生しやすい。
太平洋高気圧の縁を回る風が日高山脈を越えると、乾いた暖かい風として帯広に吹き込む。
特に夏の高気圧が強いときは、**高温乾燥状態(35℃以上)**になることがある。
例:
2021年6月、帯広で36.1℃を記録した日は、日高山脈越えのフェーン風が吹いていた(気象庁解析データ)。
4. 広大な農地による照り返し(アルベド効果)
十勝平野は日本最大級の農業地帯。農地(裸地・草地)からの照り返しも、気温を押し上げる一因。
アスファルトほどではないけど、農地の表面温度は40〜50℃になることも。
特に収穫後や耕作中の裸地は、日射を吸収し、周囲の空気を温める。
補足:
土壌や作物の種類によってアルベド(反射率)が低い=熱を吸収しやすい。
この地表面加熱も、都市部ほどではないにせよ影響しているとされる(農研機構レポートより)。
5. ヒートアイランドは限定的だが存在
帯広市は人口16万人ほどの地方中核都市。ビルは少ないものの、中心市街地では局地的なヒートアイランド現象も確認されている。
アスファルトや建物が集中するエリアでは、夜間の気温が下がりにくい。
ただし、北見や札幌に比べると影響は限定的。
まとめ:帯広が暑くなるのはこういう理由!
要因 内容
内陸性気候 海から離れ、日中の気温が急上昇しやすい
地形的特徴(平野・低地) 熱がこもりやすい地形で、日中に熱が滞留
フェーン現象 日高山脈越えの乾いた風が気温上昇を促進
農地からの照り返し 広大な裸地や草地が地表面を加熱し、気温上昇に寄与
都市化(軽度) 中心部ではヒートアイランドの兆候も見られる